ヴェネツィアとは
「ヴェネツィア(ベネチア)」はイタリア語の"Venezia"をカタカナ読みしたものですが、英語の"Venice"から「ヴェニス(ベニス)」とも呼ばれます。『ヴェニスに死す』や『ヴェニスの商人』といった、数々の映画や小説の舞台になってきました。

ヴェネツィアは、ヴェネト州の州都で、ヴェネツィア県の県都です。行政上におけるヴェネツィアの市域はヴェネツィア本島だけでなく、リベルタ橋で繋がったイタリア本土側にも広がります。ヴェネツィア市の人口は約26万人ですが、観光の中心であるヴェネツィア本島より、イタリア本土側に人口の重心があります。
「アドリア海の女王」と呼ばれ、アドリア海において絶対的な海洋権益を誇っていた、ヴェネツィア共和国という海洋国家がかつてありました。ヴェネツィアはその首都でした。ヴェネツィア共和国は、697年の建国からナポレオン・ボナパルトに滅ぼされる1797年まで、1000年以上にわたって続き、「歴史上最も長く続いた共和国」とされています。
最盛期には、クロアチア、モンテネグロ、アルバニアの沿岸部に加え、ギリシャのペロポネソス半島、クレタ島、そしてキプロス、トルコの一部までもを支配下に置きました。大航海時代の到来とともに、海洋貿易の檜舞台が大西洋や太平洋、インド洋に変わり、徐々にヴェネツィア共和国は力を失っていきました。
ヴェネツィア共和国を滅ぼしたのはナポレオン・ボナパルトですが、彼はサン・マルコ広場を目にして、「世界一美しい広場」と称えたと伝えられています。

サン・マルコ広場をはじめとしたヴェネツィア本島の主要な構造物、そして周辺の島々は「ヴェネツィアとその潟」として世界遺産に登録されています。
カンヌ、ベルリンと並ぶ世界三大映画祭のひとつである、ヴェネツィア国際映画祭の開催地としても有名です。
また国際的な美術展として知られる、ヴェネツィア・ビエンナーレの開催地としても有名です。
ヴェネツィアのカーニバル

ブラジル・リオのカーニバルと並び、もっとも有名なカーニバルの一つです。カーニバルの歴史や、ヴェネツィアのカーニバルを楽しむための方法について、詳しくは下の記事をご覧ください。

ヴェネツィアの観光スポット
ヴェネツィアでおすすめの観光スポットを、ランキング形式でご紹介します。

ヴェネツィアには世界に類を見ない都市景観があります。1位はあえて特定の構造物ではなく、街並みとしました。
スマホのGPS機能を使って、目的の場所まで最短ルートで行くことができる時代になりましたが、ヴェネツィアでは寄り道や脇道こそ楽しいので、余裕をもったスケジュールを組んで、自ら望んで迷子になりたいです。「ヴェネツィアの道草」も併せてご覧ください!

ヴェネツィア観光にゴンドラ・クルーズは欠かせません。詳しくは下の記事をご覧ください。


かのナポレオン・ボナパルトをもってして、「世界一美しい広場」といわしめたサン・マルコ広場です。「アクア・アルタ」と呼ばれる高潮のときには、冠水した広場の様子がよくニュース映像として流れます。




サン・マルコ時計塔

時計塔といってもいわゆる天文時計であり、IからXXIIIIまでローマ数字が刻まれているように、1周が24時間です。分を表す長針はありません。内側に十二宮の立体彫刻が配されています。地の深い青を出しているのは、ラピスラズリです。
ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世像

イタリアを統一したヴィットーリオ・エマヌエーレ2世の像です。ローマの「ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂」にも、同じような騎馬像があります。騎馬像ではありませんが、「ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガッレリア」といえば、ミラノの有名な観光スポットです。

内部は残念ながら撮影禁止ですが、黄金の衝立や黄金の天井は見ごたえがあります。ヴェネツィアが、いかにアドリア海の富を独占していたかがわかります。

ヴェネツィア共和国の総督(ドージェ)邸兼政庁だった建物です。日本でいうと、首相官邸と国会議事堂が一緒になったようなところでしょうか。

ドゥカーレ宮殿の中庭からサン・マルコ寺院を見たところです。

中庭に面しているのがもったいないくらいの、凝った装飾が施された立派な階段です。

ローマにある「真実の口」を連想しますが、その名もずばり「真実の口」です。密告書を投函するための、いわゆるポストでした。別名を「ライオンの口」といいますが、ヴェネツィアの象徴である「翼のあるライオン」に掛けているのかもしれません。

こちらも立派な階段です。

「黄金の階段」という名前がついています。

「大評議の間」です。強烈な朝日が差し込んでいます。
写真では暗くてわかりませんが、奥の壁一面がティントレットの『天国』という作品になっており、世界最大の油絵といわれています。

ため息橋の中から、サン・マルコ湾の方を見たところです。外から見たため息橋については、また下でご紹介いています。

カナル・グランデには4つの橋が架かっていますが、その中で一番有名なものがこのリアルト橋です。

リアルト橋の上から見たカナル・グランデです。カナル・グランデにはゴンドラだけでなく、たくさんのヴァポレットや水上タクシーが走っています。



カナル・グランデに架かる4つの橋の中で、一番サンタ・ルチア駅から遠い場所、本島から遠い場所にあるのがこのアカデミア橋です。

ドゥカーレ宮殿の尋問室と、古い牢獄を繋ぐ大理石の橋です。囚人が最後に美しいヴェネツィアの風景を見て、ため息をこぼす様子からこの橋の名前がついたといわれています。

ヴェネツィアには2度訪れていますが、最初に訪れたときには工事中のパネルが周囲を覆っていました。

観光客でごった返す賑やかなヴェネツィア本島に疲れたら、ヴァポレットに乗ってしばしジュデッカ島に避難してみてはいかがでしょうか。

静かな対岸から眺めるサン・マルコ広場も、また趣きがあっていいものです。


裏から見るサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂です。表からは、ゴンドラ・クルーズで見ました。

こちらはジュデッカ島にある、サンタ・マリア・デッラ・プレゼンタツィオーネ教会です。

世の中にはこんな通勤、通学の風景もあります。殺風景な駅のプラットフォームで、満員電車を待つだけが人生ではありません。

サン・ジョルジョ・マッジョーレ島にある教会です。ジュデッカ島を日本の本州とすると、サン・ジョルジョ・マッジョーレ島は北海道に当たる場所にあります。
口コミサイトで人気の観光スポット
参考に2つの代表的な口コミサイトで、人気の観光スポットを見てみましょう。
フォートラベルは日本のユーザーからの口コミですが、トリップアドバイザーは日本を含む世界のユーザーからの口コミです。
フォートラベル(4travel.jp)
2018年6月7日時点のランキングです。
| 順位 | 観光スポット |
|---|---|
| 1 | サン マルコ広場 |
| 2 | サン マルコ寺院 |
| 3 | リアルト橋 |
| 4 | 鐘楼 |
| 5 | カナル グランデ大運河 |
| 6 | ドゥカーレ宮殿 |
| 7 | ため息橋 |
| 8 | ゴンドラ セレナーデ |
| 9 | ヴェネツィアとその潟 |
| 10 | サン ジョルジョ マッジョーレ教会 |
| 11 | アカデミア橋 |
| 12 | ブラーノ島 |
| 13 | サンタ マリア デッラ サルーテ教会 |
| 14 | 時計塔 |
| 15 | サン マルコ小広場 |
| 16 | ムラーノ島 |
| 17 | サンマルコ運河 |
| 18 | サンタ マリア グロリオーサ デイ フラーリ教会 |
| 19 | アカデミア美術館(ベネチア) |
| 20 | スカルツィ橋 |
トリップアドバイザー(tripadvisor.jp)
2018年6月7日時点のランキングです。
| 順位 | 観光スポット |
|---|---|
| 1 | グランドキャナル大運河 |
| 2 | ドゥカーレ宮殿 |
| 3 | サン・マルコ大聖堂 |
| 4 | サン マルコ広場 |
| 5 | ウォーキング ツアー |
| 6 | リアルト橋 |
| 7 | プライベート ツアー |
| 8 | カルチャー ツアー |
| 9 | エレディ ジョヴォン ジュエリー |
| 10 | 観光ツアー |
| 11 | ギフト & 専門店 |
| 12 | ボート ツアー |
| 13 | Centro Storico di Venezia |
| 14 | サン ロッコ (サン ロッコ大信徒会) |
| 15 | Musica A Palazzo |
| 16 | サンタ・マリア・グロリオーザ・デイ・フラーリ聖堂 |
| 17 | シティ ツアー |
| 18 | サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会 |
| 19 | ドーソデュロ |
| 20 | ラ ラグーナ |
トリップアドバイザーの方ですが、ウォーキング ツアーなどの「~ツアー」が目立ちます。それだけヴェネツィア観光は個々の観光スポットより、体験が重視される傾向にあるといえるかもしれません。
ヴェネツィアのグルメ
ヴェネツィアの名物
- チケッティ:バーカロと呼ばれる酒場でワインとともに味わう、小皿料理や軽食です。
- サルデ・イン・サオール:揚げたイワシを玉ねぎ、酢、レーズン、松の実でマリネする、ヴェネツィアの前菜です。
- バッカラ・マンテカート:干しダラをなめらかに練り、パンやポレンタにのせて味わいます。
- リゾット・アル・ネーロ・ディ・セッピア:イカ墨で黒く仕上げる、潟の魚介を生かしたリゾットです。
アドリア海の魚介と、海上交易で伝わった甘酸っぱい味付けを楽しめるのがヴェネツィア料理の魅力です。

ヴェネツィアの名店
営業状況は、各店の公式案内を2026年9月16日に確認しました。営業時間や予約方法は、訪問前に公式案内で確認してください。
Italian Bistrot Chat Qui Rit

魚介のマリネです。アドリア海の新鮮な食材を使い、素材の良さを生かして調理するのが、ヴェネツィア料理の特徴です。
公式サイト
Osteria alle Testiere
カステッロ地区の魚介料理店です。火曜から土曜に営業し、予約はオンラインで受け付けています。
公式サイト
ヴェネツィアの交通
ヴェネツィア本島では徒歩とヴァポレット(水上バス)が基本の移動手段です。本土側から列車で来る場合は、ヴェネツィア・サンタ・ルチア駅が到着地になります。2026年9月16日、各公式サイトで確認。
鉄道

スカルツィ橋の上から見たヴェネツィア・サンタ・ルチア駅です。駅の右手に見える駅に隣接した建物は、サンタ・マリア・ディ・ナザレ教会です。列車の時刻、運行状況、きっぷはトレニタリアの公式サイトで確認してください。

マルコ・ポーロ国際空港(ヴェネツィア・テッセラ空港)が空の玄関口とすると、ヴェネツィア・サンタ・ルチア駅は本島側の陸の玄関口です。
ヴァポレット・路線バス
ヴァポレットを含む水上交通、リド島・本土側のバスとトラムはACTVが案内しています。乗り場、路線、時刻表、運賃、運休情報を旅行前に公式サイトで確認しましょう。
ヴェネツィアのモデルコース
ヴェネツィアは迷子になるのが楽しい街です。なのでモデルコースはあってないようなものですが、オーソドックスなところで考えてみました。
地図を読み込んでいます。
- ①サン・マルコ広場 → ②ため息橋Google Mapsで経路を計算中
サン・マルコ広場からため息橋へ徒歩で移動します。
- ②ため息橋 → ③S. MarcoのフェリーターミナルGoogle Mapsで経路を計算中
ため息橋からS. Marcoのフェリーターミナルへ徒歩で移動します。
- ③S. Marcoのフェリーターミナル → ④アカデミア橋Google Mapsで経路を計算中
S. Marcoのフェリーターミナルからアカデミア橋へ徒歩で移動します。
- ④アカデミア橋 → ⑤リアルト橋Google Mapsで経路を計算中
アカデミア橋からリアルト橋へ徒歩で移動します。
- ⑤リアルト橋 → ⑥カッレ・ベムボ(Calle Bembo)Google Mapsで経路を計算中
リアルト橋からカッレ・ベムボ(Calle Bembo)へ徒歩で移動します。
①サン・マルコ広場からスタートして、また最終的にサン・マルコ広場に戻ってくるコースです。
サン・マルコ広場に面した鐘楼やサン・マルコ時計塔を見学し、サン・マルコ寺院に入場します。黄金の衝立と黄金の天井を見逃さないようにしてください。
パリャ橋まで移動し、橋の上から②ため息橋を見ます。すこし戻ってドゥカーレ宮殿に入場します。真実の口(ライオンの口)や、黄金の階段、大評議の間(ティントレットの『天国』)といった見どころがあります。ため息橋の中にも入れますので、こちらも見逃さないようにしてください。
③S. Marcoのフェリーターミナルまで移動し、ヴァポレット1番線または2番線に乗ります。RIALTO経由P.LE ROMA方面です。間違ってもLIDO方面行きに乗らないようにしてください。船がどちらの方向から来たか見ていれば、まず間違うことはないと思います。リアルト橋までヴァポレットで移動しますが、カナル・グランデの風景を楽しむために、できるだけ船の先頭に近い良い席を確保しましょう。S. Marcoは競争率が高いので、一つ手間のS. Zaccariaから乗るのも手かもしれません。
出航してすぐ左手にプンタ・デラ・ドガーナ、続いてサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂が見えます。
間もなく、④アカデミア橋の下をくぐります。左手にアカデミア美術館も見えます。
カナル・グランデの雄大な風景に目を奪われていると、行く手の先に⑤リアルト橋が見えてきます。橋の手前にあるRialto "C"のフェリーターミナルで降りてください。リアルト橋の上から見るカナル・グランデもまた、絵になります。
⑥カッレ・ベムボ(Calle Bembo)という細い通りに入ると、ほぼ一直線でサン・マルコ広場に戻ることができます。
ただ最初にもお伝えした通り、それだけだとなんの面白みもありません。迷子になってもいいくらいの、時間と心の余裕をもって、できるだけあちこち寄り道をして、楽しんで頂ければと思います。またゴンドラ遊覧も、どこかでプランに入れることをおすすめします。
ヴェネツィアの道草
ヴェネツィアで偶然目にした光景や、ふと気になった風景などをご紹介します。

ヴァポレット乗り場とヴァポレットです。観光船ではないですが、せっかく乗るなら景色のいい先頭に近い席を取りたいです。

水上タクシーです。ヴァポレットのいい席は競争率が高いので、時間を無駄にしないように水上タクシーを使うというのも手です。



サン・タンジェロ広場です。このような広場が、街の中にはいくつもあります。ヨーロッパは広場の文化なので、どれだけ土地がなくても地域の中心となる広場だけは、かならず計画します。


アメリカ人アーティスト、チャールズ・レイ(Charles Ray)による"Boy with Frog"(カエルと少年)という作品です。プンタ・デラ・ドガーナの前に展示されていましたが、現在は撤去されています。イタリア人にとっても気になる作品だったようで、撤去を残念がる記事もいくつか見られました。

光と影の対比がドラマチックです。



ヴェネチアン・マスクの職人による制作風景です。



ヴェネツィアも観光客のあまり来ない街の外れにまでくると、このような生活感あふれる風景を見ることができます。

とある本屋さんでの光景です。ゴンドラをディスプレイに使っています。

サン・マルコ湾の朝焼けです。
鉄道車両

ヴェネツィア・サンタ・ルチア駅に停車していたイタリア国鉄E414形です。ETR500形の第1世代が、第2世代と区別するために名前を変えたものです。

ヴェネツィア・サンタ・ルチア駅に停車していたチザルピーノETR610形です。チザルピーノ(Cisalpino)は、トレニタリアとスイス連邦鉄道が共同出資して設立した鉄道会社で、イタリアからアルプスを越えてスイス、さらにドイツのシュトゥットガルトまで運行していました。2009年に解散し、事業はトレニタリアとスイス連邦鉄道に引き継がれました。

ヴェネツィア・サンタ・ルチア駅に停車していたイタリア国鉄MDVC型です。車体側面の「TE」は電気機関車を示し、「TD」とあればディーゼル機関車です。

列車に乗るスズメを見たのは初めてです。

イタリア本土とヴェネツィア本島を結ぶリベルタ橋を通る列車です。
船舶

ゴンドラを速く走れるよう改良した、ゴンドリーノと呼ばれる競争船です。レガータ・ストーリカと呼ばれる大きなレース大会に向けて、練習しているのでしょう。