イギリス国立鉄道博物館の基本情報

鉄道発祥の国イギリスが誇る、世界最大級の鉄道博物館です。
蒸気機関車の基本設計を完成させたといわれるロケット号や、蒸気機関車の世界最高速度を記録したマラード号など、特に蒸気機関車に関する展示が充実しています。
日本からは新幹線0系が寄贈され、博物館を代表する展示車両の1つになっています。
さいたまの鉄道博物館、京都鉄道博物館と姉妹提携を締結しています。
入場料について
入場料は無料です。但し、5ポンドの寄付が推奨されています。
イギリス国立鉄道博物館の見どころ

レンガ造りの、味のある建物です。

日本の新幹線0系が、イギリスのレジェンド達と並んでいます。

ここにもやはり、入口に一番近い場所に新幹線のパネルがあります。
その右隣がマラード号、さらにその右隣が「デルティック」という愛称で呼ばれるディーゼル機関車です。いずれも後ほど、実機の写真とともにご紹介します。
グラッドストーン号

所謂「お召列車」です。日本だと菊の御紋がつくところに、イギリスの国章がついています。ライオンはイングランドを、ユニコーンはスコットランドを象徴しています。

グラッドストーン号が牽引する客車で、「ヴィクトリア女王の客車(Queen Victoria's Saloon)」と呼ばれています。

列車の客席をモチーフにした座席で、お茶休憩をしたり軽食をとることができます。

お召列車のある「ステーション・ホール(Station Hall)」の外壁には、鉄道に関係する様々な企業のロゴがペイントされています。左下に「JR東海」のロゴがあります。
新幹線0系を寄贈したのはJR東海ではなくJR西日本なので、それを記念したペイントというわけではなさそうです。
ロケット号

ロケット号は世界で初めて、蒸気機関車による旅客鉄道を実現しました。ジョージ・スチーブンソンとロバート・スチーブンソンの親子によって設計されたため、スチーブンソンのロケット号(Stephenson's Rocket)とも呼ばれます。
煙管ボイラーの採用や、シリンダーの動力を直接車輪に伝える機構など、いくつものイノベーションにより、最高速度は40 km/h以上に達しました。「世界初の人身事故」という不名誉な記録も残しますが、一度開いた大量輸送時代の幕が閉じることは二度とありませんでした。
京都鉄道博物館にも、ロケット号の模型が展示されています。

日本で見るような成熟期の蒸気機関車は、石炭庫の下に水タンクが隠れていますが、ロケット号では石炭庫と並んで目立つ場所に、木製の樽が置かれています。
イギリス国鉄373形「ユーロスター」

英仏海峡トンネルを通り、ロンドンとパリを結ぶ国際列車につけられた名称が「ユーロスター」です。373型は、フランス国鉄の高速列車TGVがベースになっています。
パリ北駅で出会った373形に、イギリスで再開することになるとは思ってもみませんでした。

新幹線0系

2001年にJR西日本から寄贈されました。新幹線の歴史にまつわる資料も、併せて展示されています。
ちなみに、さいたま(JR東日本)の鉄道博物館で展示されている新幹線0系も、同様にJR西日本から寄贈されたものです。
LNER A4形蒸気機関車4468号機「マラード」

蒸気機関車とは思えないような、研ぎ澄まされた流線形の車体です。「マラード号」とも呼ばれます。

126 mph(203 km/h)という、蒸気機関車としての世界最高速度記録を有しています。今後もきっと、破られることはないでしょう。

左から、イギリス国鉄52型、55形、40型のいずれもディーゼル機関車です。55型は「デルティック」という愛称でも親しまれています。
蒸気機関車をディーゼル機関車に置き換えるに当たり、その静粛性が原因で接触事故が相次いだため、イギリス国鉄はディーゼル機関車の顔を黄色く塗るよう義務付けました。その伝統は、ユーロスターや日立製の800型にも引き継がれています。
40型が黄色くないのは、その過渡期だったからかもしれません。

スターリング・シングル

イギリスは南北に長い国です。イギリスの鉄道には西海岸を南北に縦断する西海岸線と、東海岸を南北に縦断する東海岸線という2つのメインルートがあり、両ルートでイングランド北部およびスコットランド方面への速達性を競ってきました。
19世紀後半に東海岸線のエースとして登場したのが、このスターリング・シングルです。8 ft(2.4 m)の大きな駆動輪を備えているのが特徴で、平均速度50 mph(80 km/h)、最高速度85 mph(137 km/h)を達成しました。
ダッチェス・オブ・ハミルトン

マラード号と同じく、流線形のスタイリングをしているのが特徴です。
空力的にはメリットがあったものの、メンテナンス性の悪さという大きなデメリットがあり、最終的には流線形のカバーを取り外した状態で運転がされていました。鉄道博物館で展示するに当たり、特徴的な流線形のカバーが再現されました。
GWRレールカー

こちらも流線形ですが、蒸気機関車ではなく1934年に制作されたディーゼル車です。機関車ではなく、気動車(動力分散方式)であると思われます。「フライングバナナ」という愛称がつけられました。
自動車の設計でも有名な、エットーレ・ブガッティ(Ettore Bugatti)の設計した「レールカー」に大きな影響を受けています。ブガッティの「レールカー」は、ミュルーズ(フランス)の鉄道博物館、シテ・デュ・トラン(Cité du Train)で展示されています。

さいたまの鉄道博物館と同じように、館内に転車台を備えています。

俯瞰できるような展望スペースがあれば良かったのですが、残念ながら見つけられませんでした。
China Railways KF7

1935年にイギリスで製造され、中国で営業運転された蒸気機関車です。1979年に中国政府からイギリス国立鉄道博物館へ寄贈され、里帰りを果たしました。
バルカン・ファウンドリー(Vulcan Foundry)製です。ちなみに、日本初の鉄道として新橋横浜間を走ったのも、同社製造の車両です。さいたまの鉄道博物館に展示されています。

ポート・カーライル鉄道(Port Carlisle railway)で使用された、馬車鉄道の客車です。「ダンディー・カー(Dandy Car)」とも呼ばれています。
19世紀の初期にはほとんどの馬車鉄道が蒸気機関車に取って変わられる中、ポート・カーライル鉄道は1914年まで、馬車鉄道の営業を続けました。

鉄道模型の展示もあります。OO(ダブルオー)ゲージと思われます。人が倒れていますが、どういう状況なのでしょうか。
他にも、別料金にはなりますが親子で乗車することのできるミニチュア鉄道であったり、「マラード・エクスペリエンス(Mallard Experience)」と呼ばれる、遊園地のライド・アトラクションのようなものがあったりします。ファミリー観光にもおすすめです。
イギリス国立鉄道博物館のアクセス
イギリス国立鉄道博物館は、イングランド北東部の街、ヨークにあります。
ヨークへは、ロンドンのキングス・クロス駅からLNER(またはGrandCentral)で1時間45分~2時間です。キングス・クロス駅は、ハリーポッターの「9と4/3番線ホーム」がある駅としても有名です。

Ⓐヨーク駅とⒷイギリス国立鉄道博物館は隣接しています。駅の西口を出て徒歩約2分で、鉄道博物館の入口に着きます。
ちなみに、駅の東側にはヨーク・ミンスターを中心とした、ヨークの旧市街が広がっています。
