トリノとは
トリノは、ピエモンテ州の州都であると同時に、トリノ県の県都です。トリノ市の人口は約89万人で、イタリアではローマ、ミラノ、ナポリに次いで4番目に大きな都市です。日本だと、北九州市(約95万人)と堺市(約83万人)の間に入る規模です。

イタリアを代表する自動車メーカーであるフィアット(FIAT)や、ランチア(LANCIA)の本社があり、自動車産業を中心とした工業都市です。
セリエA最多の優勝回数を誇るユヴェントスFCや、トリノFCのホームタウンです。
1563年、サヴォイア家を君主とするサヴォイア公国の首都が、シャンベリ(現在フランス・サヴォア県の県都)からトリノに移ります。1720年、サヴォイア家はサルディーニャ王の称号を手に入れ、サルディーニャ王国を建国します。王国の名目上の首都はサルディーニャ島のカリャリでしたが、事実上の首都はトリノでした。
1861年、サルディーニャ王国を中心としたイタリア統一が成され、イタリア王国が建国されます。このときサルデーニャ王だったヴィットーリオ・エマヌエーレ2世が、イタリア王国の初代国王となり、トリノがイタリア王国最初の首都となりました。その後首都はフィレンツェ、ローマへと移っていきます。ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世は国家統一の英雄とされ、イタリア各地にその像が建っています。
自動車産業が盛んであるという点と、国家統一の英雄を輩出したという点で、名古屋市と共通した特徴があります。トリノ市と名古屋市は2005年、姉妹都市提携を結びました。
トリノの観光スポット
トリノでおすすめの観光スポットを、ランキング形式でご紹介します。

トリノを支配したサヴォイア家の宮殿であり、その栄華の象徴です。16~17世紀に建築されました。武器博物館をはじめとした、豪華絢爛な装飾や美術品が見どころです。「サヴォイア王家の王宮群」として、世界遺産に登録されています。

トリノ王宮と同じ、カステッロ広場(Piazza Castello)に面しています。カステッロの意味は城ですので、直訳すると「城広場」です。
古代ローマ時代の遺構の上に建っています。14~15世紀初頭に、四隅に円筒形の塔を配した城郭として整備されました。カステッロ広場(城広場)の由来は、トリノ王宮ではなくおそらくマダマ宮殿でしょう。

一枚目の写真は、じつはマダマ宮殿を裏から見たところです。こちらが表から見たところで、まったく違った建物に見えます。18世紀に活躍したイタリア人建築家フィリッポ・ユヴァラ(Filippo Juvarra)によって、重厚な白亜のファサードが追加されました。
トリノ王宮などとともに、「サヴォイア王家の王宮群」として世界遺産に登録されています。現在は市立古典美術館として使われています。

サヴォイア家の分家である、サヴォイア・カリニャーノ家の宮殿です。1831年、跡取りのできないまま本家の当主が死去したことで、カリニャーノ公であったカルロ・アルベルトがサルデーニャ王国の国王となります。本家と分かれたのは6世紀も前のことであり、彼が生まれたときには周りの誰も、彼が将来サルディーニャの王になるなどとは思っていなかったようです。
そしてカルロ・アルベルトの子が、かのヴィットーリオ・エマヌエーレ2世です。彼はサルディーニャ王国最後の王であり、イタリア王国の初代国王となりました。カルロ・アルベルトも、ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世も、ここカリニャーノ宮で生まれ、育ちました。そういった歴史的背景もあり、現在は国立イタリア統一運動博物館(国立イタリア統一博物館)として使われています。
トリノ王宮、マダマ宮殿などとともに、「サヴォイア王家の王宮群」として世界遺産に登録されています。

エジプト・カイロにあるエジプト考古学博物館を除くと、世界最大のエジプト博物館です。

20世紀以前の建築物として、エッフェル塔(300 m)、New Brighton Tower(173 m)、ワシントン記念塔(169 m)に次ぐ、4番目の高さ(167.5 m)です。このうちイギリス・ウォラシー(Wallasey)のNew Brighton Towerは現存していないため、20世紀以前の現存する建築物としては3番目の高さです。
エッフェル塔のように開けた場所に建っているわけではなく、周辺の建物に半ば埋もれるようにしてあるため、ランドマークとしてはやや地味な印象です。現在は国立映画博物館として使われています。
サン・ロレンツォ教会

トリノ王宮に隣接しています。17世紀に建てられたバロック様式の教会です。一見してバロックとわかる建築物は、イタリアの南に行くほど珍しくなりますので、フランスの影響が強い北イタリア、トリノならではです。
サン・カルロ広場

第10代のサヴォイア公であるエマヌエーレ・フィリベルトの騎馬像です。像を挟んで、奥に双子のような教会が見えます。左側がサンタ・クリスティーナ教会、右側の塔がついている方がサン・カルロ教会で、広場の名前の由来にもなっています。
レージョ劇場

歴史ある劇場ですが1936年、火災によって大部分が焼失し、1973年にようやく再建が完了しました。トリノのシンボルである雄牛のシルエットが、レンガを沈めるようにして刻まれています。
ルイジ・ローランド人体解剖学博物館

ルイジ・ローランドはトリノ出身の解剖学者です。脳神経解剖学の分野で、彼にちなんだ「ローランド裂」という専門用語が、現在でも使われています。
トリノ大学

1404年に設立された、ヨーロッパ最古級の歴史ある大学の一つです。『薔薇の名前』の知られる作家ウンベルト・エーコや、複数のノーベル賞受賞者を輩出している、イタリアの名門大学です。上でご紹介したルイジ・ローランドも、トリノ大学で教鞭を執りました。
砲兵記念門

第一次大戦中の1918年、ピアーヴェ川の戦いにおいてイタリア王国軍はオーストリア・ハンガリー帝国軍を打ち破りました。このときピエモンテの砲兵隊が大きな貢献をしたため、これを記念して1930年に建てられた門です。
ヴァレンティーノ城(トリノ工学院)

「サヴォイア王家の王宮群」の一部として、世界遺産に登録されています。市中心部にありながら、トリノ王宮、マダマ宮殿、カリニャーノ宮ほどの知名度はありません。ヴァレンティーノ城は現在トリノ工学院の建築学部として使われており、観光地化されていないのがその原因です。トリノ工学院の校章にも、ヴァレンティーノ城の模様が入っています。
ポー川

イタリアでもっとも長い川です。アルプス山脈を水源とし、ずっと東に向かってイタリア北部を横断し、最終的にアドリア海に注ぎます。その長さは652 kmで、日本で一番長い信濃川が367 kmですので、ポー川がいかに長いかわかります。
ちなみに、萩尾望都の漫画『ポーの一族』とは何ら関係がありません。
ヴィットーリオ・エマヌエーレ1世橋

ヴィットーリオ・エマヌエーレ1世は、サルデーニャ王国の第5代国王です。跡継ぎを残さず死去したため、弟のカルロ・フェリーチェに王位を譲りますが、彼も兄と同じ運命を辿り、とうとう分家であるサヴォイア・カリニャーノ家のカルロ・アルベルトがサルデーニャの王となります。イタリアを統一し、イタリア王国の初代国王となったヴィットーリオ・エマヌエーレ2世は、カルロ・アルベルトの子です。
ウンベルト1世橋

ウンベルト1世はヴィットーリオ・エマヌエーレ2世の子で、イタリア王国の第2代国王です。

年老いて、くたびれたように見えるライオンの像です。
口コミサイトで人気の観光スポット
参考に2つの代表的な口コミサイトで、人気の観光スポットを見てみましょう。
フォートラベルは日本のユーザーからの口コミですが、トリップアドバイザーは日本を含む世界のユーザーからの口コミです。
フォートラベル(4travel.jp)
2018年8月26日時点のランキングです。
| 順位 | 観光スポット |
|---|---|
| 1 | トリノ王宮 |
| 2 | 古代エジプト博物館 |
| 3 | サン カルロ広場 |
| 4 | ドゥオーモ |
| 5 | マダマ宮殿 |
| 6 | モーレ アントネッリアーナ |
| 7 | コンソラータ大聖堂 |
| 8 | サン ロレンツォ教会 |
| 9 | スペルガ聖堂 |
| 10 | カステッロ広場 |
トリップアドバイザー(tripadvisor.jp)
2018年8月26日時点のランキングです。
| 順位 | 観光スポット |
|---|---|
| 1 | トリノ・エジプト博物館 |
| 2 | 国立映画博物館 |
| 3 | 部屋脱出ゲーム |
| 4 | Santuario Basilica La Consolata |
| 5 | Cappella dei Banchieri e dei Mercanti |
| 6 | サン ロレンツォ教会 |
| 7 | ユヴェントス スタジアム |
| 8 | Museo del Carcere Le Nuove |
| 9 | Museo Pietro Micca |
| 10 | Colline di Torino |
フォートラベルとトリップアドバイザーのランキングはかなり異なります。フォートラベルで1位のトリノ王宮ですが、トリップアドバイザーではトップ10圏外です。(ちなみに22位)
トップ10圏内で共通しているのは、古代エジプト博物館、モーレ アントネッリアーナ(国立映画博物館)、コンソラータ大聖堂(Santuario Basilica La Consolata)、サン ロレンツォ教会のみです。大定番の観光スポットができるほど、トリノ観光が一般化していないということもいえるでしょう。
トリノのグルメ
トリノの名物
- ビチェリン:コーヒー、チョコレート、牛乳を重ねる温かい飲み物で、歴史あるカフェで味わえるトリノの定番です。
- アニョロッティ・デル・プリン:肉を詰めた小さなラビオリ状のパスタで、ピエモンテ料理を代表する一皿です。
- ヴィテッロ・トンナート:薄切りの仔牛肉にツナのソースを合わせる、ピエモンテの前菜です。
- ジャンドゥイオット:ヘーゼルナッツを使った、舟形のチョコレートです。
トリノ市と周辺の食文化は、歴史あるカフェ、ピエモンテ料理、チョコレートやワインまで幅広く楽しめます。
トリノの名店
営業状況は、各店の公式案内を2026年9月16日に確認しました。営業時間や予約方法は、訪問前に公式案内で確認してください。
Caffè Al Bicerin
コンソラータ広場にある1763年創業の歴史的なカフェです。店名にもなったビチェリンのほか、チョコレートやジャンドゥイオットを味わえます。
公式サイト
Ristorante Consorzio
モンテ・ディ・ピエタ通りにあるレストランです。厳選した食材を軸に、ピエモンテの伝統料理を現代的に提供しています。
公式サイト
トリノの交通
以下の交通案内は、2026年9月16日に各公式サイトで確認しました。ダイヤ、運賃、利用条件は変更される場合があるため、出発前にも公式案内を確認してください。
鉄道

トリノ・ポルタ・ヌオーバ駅の正面です。駅前にはメトロの入口もあります。ローマ・テルミニ駅、ミラノ中央駅に次いで、イタリアで3番目に乗降客数の多い駅です。

夜の駅舎は、アーチ状の大きな窓がよく目立ちます。

回廊の天井も印象的です。

駅構内の大きなアーチと案内板。

出発案内を確認してからホームへ向かいます。都市間列車の経路・時刻・運休情報は、Trenitaliaの公式検索で確認してください。
地下鉄・路面電車・バス
GTTの公共交通網にはメトロ、路面電車、バスがあり、メトロはポルタ・ヌオーバ駅とポルタ・スーザ駅にも接続しています。路線図、時刻表、運行状況はGTTの公式案内で確認できます。

空路
トリノ空港と市内の間は鉄道・バスなどで移動できます。空港アクセスの運行情報と乗り場は、空港運営会社SAGATの公式案内を確認してください。
トリノのモデルコース
トリノ中心部の観光スポットは、トリノ王宮を中心に分布しています。ポルタ・ヌォーバ駅からトリノ王宮までの主ルートは徒歩約1.6km・約23分です。
地図を読み込んでいます。
- ①ポルタ・ヌォーバ駅 → ②サン・カルロ広場Google Mapsで経路を計算中
多くの観光客にとってトリノの玄関口になるであろう、ポルタ・ヌォーバ駅から観光をはじめます。Piazza Carlo FeliceとVia Romaを通って南東へ歩き、サン・カルロ広場に着きます。
- ②サン・カルロ広場 → ③エジプト博物館Google Mapsで経路を計算中
Piazza S. CarloとVia Maria Vittoriaを通って北東へ歩くと、エジプト博物館です。世界有数のエジプト・コレクションを堪能してください。
- ③エジプト博物館 → ④カリニャーノ宮Google Mapsで経路を計算中
Via Accademia delle Scienzeを北東へ進むと、エジプト博物館の斜向かいにカリニャーノ宮(国立イタリア統一運動博物館)があります。イタリア統一の英雄、ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世の生涯に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
- ④カリニャーノ宮 → ⑤マダマ宮殿Google Mapsで経路を計算中
Via Accademia delle ScienzeとPiazza Castelloを通って北東へ歩き、マダマ宮殿(市立古典美術館)に着きます。古代ローマ時代から続く、歴史の年輪を感じてください。
- ⑤マダマ宮殿 → ⑥トリノ王宮Google Mapsで経路を計算中
Piazza Castelloを北西へ歩き、トリノ王宮へ向かいます。サヴォイア家の栄華を象徴する、豪華絢爛な装飾や美術品の数々に酔いしれるのではないでしょうか。
トリノ王宮周辺には、サン・ロレンツォ教会、サン・ジョヴァンニ・バッティスタ大聖堂、サバウダ美術館など観光スポットが密集していますので、時間と興味によって選ぶことができます。
もし足に自信があって時間的にも余裕があるなら、モーレ・アントネリアーナ(国立映画博物館)を超えてさらに東に向かい、イタリアでもっとも長い川であるポー川を目にするのも、いい経験になるのではないでしょうか。
トリノ郊外にも、ストゥピニージ宮殿、ヴェナリア宮殿、スペルガ聖堂など、魅力的な観光スポットが多数が存在しています。トリノは工業都市というイメージで損をしていますが、観光地としての魅力に溢れています。
トリノの道草
トリノで偶然目にした光景や、ふと気になった風景などをご紹介します。

全身にツタを這わせながら、ご主人様の帰りを待ち続けているのでしょうか。

フィアット工場の跡地に建てられた、NH Torino Lingotto Congressです。

同ホテルで見かけたランチア・フルヴィア(Fulvia)です。

ホテルで配布されていたフリーペーパーです。設計図を具現化するように、メジャーで長さを測りながら髪を切る女の子が描かれています。
マンホールカバー

イタリア統一運動の中心地となった、トリノに相応しいマンホールカバーです。イタリア統一150周年を記念したロゴが付いています。

SMAT(Società Metropolitana Acque Torino S.p.A.)の名が入ったマンホールカバーです。
路面電車

GTT 5000系の路面電車です。世界的に見ても初期型の超低床電車で、フィアットの鉄道部門(Fiat Ferroviaria)が製造しました。同社はイタリア国鉄のペンドリーノを開発した企業としても知られ、後にフランスのアルストムに買収されています。トリノではレトロな2800型も現役で走っています。
鉄道車両

トリノ・ポルタ・ヌオーバ駅に停車していたイタリア国鉄ETR500型です。フレッチャロッサ(Frecciarossa)のロゴが目を引きます。

同じくトリノ・ポルタ・ヌオーバ駅に停車していたETR500型です。フレッチャロッサ(Frecciarossa)のロゴが目を引きます。

トリノ・ポルタ・ヌオーバ駅に停車していたETR400型(Frecciarossa 1000)です。イタリアが誇る最新型の高速鉄道車両で、設計上の最高速度は400km/hに達します。

複眼式のヘッドライトが特徴的なETR400型です。

トリノ・ポルタ・ヌオーバ駅に停車するETR400型です。

トリノ・ポルタ・ヌオーバ駅で、ETR500型とETR400型が並んでいます。