ロンドン塔の基本情報
「ロンドン塔」と聞くと、もしかするとエッフェル塔のようなものをイメージするかしれません。ロンドン塔の正式名称は、「国王(女王)陛下のロンドン塔の宮殿および要塞(His (Her) Majesty's Royal Palace and Fortress of the Tower of London)」です。「ロンドン城」といったほうがわかりやすいでしょう。
11世紀イングランドを征服したウィリアム1世(ウィリアム征服王)が、ロンドン市民を支配するために建設したのが、ロンドン塔です。城の天守に当たる、ホワイト・タワー(White Tower)が完成したのは1078年です。さらに13世紀末にかけて、巨大な防護壁と堀など幾度も拡張を重ね、要塞(城)としての姿が完成します。
その後ロンドン塔は、監獄および処刑場としての機能も果たすようになります。16世紀にはヘンリー8世の政敵や、彼の不興を買った人物が、次々とロンドン塔に送られます。彼の2番目の妻、アン・ブーリン(Anne Boleyn)は国王暗殺の容疑や、姦通、近親相姦および魔術使用の罪により、斬首刑に処されます。ロンドン塔には、浮かばれないアン・ブーリンの霊が出ると噂されています。
ロンドン塔にはまた、王立動物園(Royal Menagerie)としてのユニークな歴史もあります。13世紀に、ジョン王がライオンなど大型の動物を飼ったのがはじまりとされています。長らく貴族だけの娯楽でしたが、18世紀には一般公開もされました。現在は閉園していますが、当時の様子を偲ぶことのできる動物の像が、ロンドン塔の各所に設置されています。
夏目漱石の小説『倫敦塔』(ロンドン塔)の舞台としても知られます。漱石は本書の中で、「倫敦塔の歴史は英国の歴史を煎せんじ詰めたものである」と語っています。
ロンドン塔の見どころ
ホワイト・タワー(White Tower)
ロンドン塔の中核となる建物です。城の天守に当たります。
テムズ川からの遠景だと単純な対称形の建物に見えますが、じっさいには見る角度によって大きく表情が変わります。手前に大きく張り出した部分が、セント・ジョン礼拝堂です。
ライン・オブ・キングス(Line of kings)
装飾性の高い甲冑を身に着けた、イングランド王と馬の像が展示されています。
馬の頭に、菊の御紋がついているようにも見えなくもありません。偶然ですが。
ヘンリー8世です。男性器を隠すための、コッドピース(codpiece)と呼ばれる装飾品が目をひきます。必要以上に大きなコッドピースは、彼の自尊心を表しているのかもしれません。
イングランド王ジェームス2世、またスコットランド王ジェームズ7世です。ライオンの透かし彫りはイングランドを、ユニコーンのそれはスコットランドを表しています。
甲冑のパーツを組み合わせて作られた、ドラゴンのオブジェです。
日本の甲冑も展示されています。
セント・ジョン礼拝堂(St John's Chapel)
ホワイト・タワーの中で、サンルームのように突き出した特別な空間です。重量感のあるアーチに使われているのは、フランス産のカーン石です。