日本の高速鉄道について
新幹線の歴史は、1964年の東海道新幹線の開業に始まります。東海道新幹線の成功を受け、1972年には山陽新幹線、1982年には東北・上越新幹線が開業します。これらの新幹線を当時運行していたのは、日本国有鉄道(国鉄)です。
1987年の国鉄分割・民営化により、東海道新幹線はJR東海、山陽新幹線はJR西日本、そして東北・上越新幹線はJR東日本に継承されます。
国鉄分割・民営化の時点では、東北・上越新幹線は上野発着であり、東京駅まで延伸されたのは1991年でした。東京駅で東北・上越新幹線と東海道新幹線を直通運転する構想は存在したものの、実現しませんでした。
その理由としては、東海道新幹線の過密ダイヤ、東京駅のホーム容量、民営化によって別会社に分かれたこと、電源周波数の違いなど、複数の要因が挙げられます。
国鉄分割・民営化の時点で既に直通運転を実現していたJR東海・JR西日本の東海道・山陽新幹線と、JR東日本の東北・上越新幹線はそれぞれ、独自の発展を遂げることになります。
JR東日本は東北各地へのネットワーク拡充を進め、1992年に山形新幹線、1997年に秋田新幹線が開業します。いずれも、ミニ新幹線として整備されたものです。
北陸新幹線は、1997年に高崎―長野間が「長野新幹線」として先行開業します。2015年に長野―金沢間が延伸開業し、JR東日本とJR西日本による共同運行が始まります。2024年に金沢―敦賀間が延伸開業します。
JR北海道のエリアでは、2016年に北海道新幹線の新青森―新函館北斗間が開業し、東北新幹線と北海道新幹線の直通運転が実現します。
JR九州のエリアでは、2004年に九州新幹線の新八代―鹿児島中央間が開業します。2011年に博多まで全線開業し、山陽新幹線と九州新幹線の直通運転が実現します。2022年に西九州新幹線の武雄温泉―長崎間が開業します。
これにより、新幹線は北海道から九州まで、日本各地を結ぶ高速鉄道網へと発展していきました。
青い新幹線と緑の新幹線

東京駅の案内表示です。青と緑の色は、それぞれ東海道・山陽新幹線の0系、東北・上越新幹線の200系に由来し、その伝統はN700系、E5系にも引き継がれています。
東海道・山陽新幹線はCOMTRAC、東北・上越・北陸新幹線はCOSMOSという異なる運行管理システムを使用しています。九州・西九州新幹線のSIRIUSはCOMTRACと、北海道新幹線のCYGNUSはCOSMOSとシステム連携しています。
| 新幹線 | 運行管理システム | 運転保守システム | 運営 |
|---|---|---|---|
| 東海道・山陽 九州・西九州 |
COMTRAC SIRIUS |
ATC-NS KS-ATC |
JR東海・JR西 JR九州 |
| 東北・上越・北陸 北海道 |
COSMOS CYGNUS |
DS-ATC | JR東・JR西 JR北海道 |
東海道・山陽・九州・西九州新幹線の車両
東海道・山陽新幹線の車両は、JR東海・JR西日本が共同、または自社単独で開発してきました。JR九州は、JR東海・JR西日本の技術支援を受け、800系を開発しました。
西九州新幹線では、JR東海が開発したN700Sが採用されています。東海道・山陽・九州・西九州新幹線の車両開発は各社の協力関係の上に成り立っており、とりわけJR東海が主導的な役割を担っているといえます。
| 車両 | 運用開始 | 投入先 | 開発 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 0系 | 1964年 | 東海道・山陽 | 国鉄 | |
| 100系 | 1985年 | 東海道・山陽 | 国鉄 | JR西が100N系を新設計 |
| 300系 | 1992年 | 東海道・山陽 | JR東海 | |
| 500系 | 1997年 | 東海道・山陽 | JR西 | |
| 700系 | 1999年 | 東海道・山陽 | JR東海・JR西 | |
| 800系 | 2004年 | 九州 | JR九州 | JR東海・JR西が技術支援 |
| N700系 | 2007年 | 東海道・山陽・九州 | JR東海・JR西 | |
| N700S | 2020年 | 東海道・山陽・西九州 | JR東海 |
新幹線0系電車

新幹線0系電車は、1964年の東海道新幹線開業にあわせて登場した、初の営業用新幹線電車です。丸みを帯びた先頭形状から「団子鼻」の愛称で親しまれ、高度経済成長期の日本を象徴する鉄道車両として知られています。
開業当時、最高運転速度(営業運転における最高速度)として世界最速となる時速210キロメートルを記録し、東京―新大阪間を約4時間で結びました。さらに1986年には最高運転速度が時速220キロメートルに引き上げられ、2008年に引退するまでじつに44年もの長きにわたり、日本の高速鉄道を支えました。
新幹線100系電車

新幹線100系電車は、0系の後継として1985年に営業運転を開始した車両です。シャープな先頭形状に加え、高速鉄道として世界初の2階建て車両を導入し、グリーン車個室や普通車全席の回転リクライニングシートなど、快適性を大きく高めました。
100系の最高運転速度は時速220キロメートルで、1989年から登場した100N系(V編成)は、山陽新幹線区間で時速230キロメートルの営業運転を実現しました。
新幹線300系電車

新幹線300系電車は、1992年に初代「のぞみ」として営業運転を開始した、高速性能を飛躍的に高めた車両です。時速270キロメートルの営業運転を実現し、東京―新大阪間を最速2時間30分で結びました。リニア・鉄道館で展示されています。

新幹線500系電車

新幹線500系電車は、1997年から営業運転を開始した、高速性を重視した新幹線車両です。当時世界最速となる、時速300キロメートルの営業運転を実現しました。

500系は、JR西日本が自社単独で開発した唯一の新幹線電車です。京都鉄道博物館で展示されています。
